膝の外反トルクとは大腿骨と脛骨の外側の角度を減少させようとする外力のことです。

外反型 1
上図のように膝が極端に内側に移動している場合は外反力が増加しています。
但し、このような現象は通常、「股関節の内旋(前からみて膝が極端に内側を向いている)」 を伴わなければ普通は起こりません。

若い女性に多くみられ、股関節が内旋拘縮(ないせんこうしゅく)している場合に見られる型です。

<外反型の主なボディメカニクス機能不全>

① 扁平足をともなう下腿の内方傾斜 + 股関節の内旋/内転
② 後脛骨筋と腓骨筋の弱化
③ 大腿四頭筋の弱化
④ 大腿筋膜張筋の弱化と柔軟性の低下
⑤ 解剖学的原因(大腿骨が内旋、内反している)

⑤については少し特殊な話なので省きます。
①~④は、いずれか一つだけで外反型を発症させるというよりも、どれか一つが起こると全てが連鎖的に起こって固定化します。
したがってこれら複数の問題を同時に解決しなければならないため、具体的な治療法については説明が難しいので割愛します。
ここでは、コンタクトスポーツでのタックルのような “明らかな外傷” と、前記の “機能不全” の中間にあたるような  “膝外反力”  についてお話することにします。
具体例を挙げますと…

⒜ 野球の投球動作でスタンスが広く、投げ終わりに後ろ脚で地面を引きずるような場合。(後述)
⒝ 床が滑りやすい場所で足を大きく開いて立つような姿勢。(下図)

開脚立位1
⒞ サッカーのインサイドキック。
⒟ お姉さん座り。(下写真)

DSCN1232

などです。

<改善方法の例>

簡単な改善方法は上記のような原因動作を止めるか、極力少なくすることです。

お姉さん座りは止めれば良いだけですし、足を大きく開いている姿勢(下図左)は、足底を滑りにくくして股関節を外旋位(下図右)にすることで膝への外反力を減らすことができます。

立位外反力

力士が「股割り」にこだわり、四股を踏む時に右図と同じように爪先が外側に向いているのは、このような膝の障害を防ぐ意味もあると考えられます。

さて、それでは先程例に挙げた 野球の投球動作 をもう少し詳しく見てみましょう。

本来の投球動作では、骨盤が先にホーム側に向いて回旋し(下左図赤→)、体がホーム側に向きはじめると同時に、上体が縦回転(下右図赤→)することで手を効率よく加速させます。

理想的な投球フォーム 1

前足を大きく踏み出そうとする投手は、ホーム側へ少しでも体を加速することで、ボールのスピードを上げようとしているのでしょうが、やり過ぎは逆効果です。

まず、スタンスを広くとろうとすると、骨盤は本来の回旋とは逆方向に回りやすくなります。(下図青←)


悪い投球フォーム2
前後に開脚するよりも左右に開脚したときの方が両足の距離を広くとりやすいからです。

この時の後ろ足の膝は、先程解説した膝外反力が加わる開脚姿勢と同じ状態になっていますね。
骨盤の回旋→体幹の縦回転というスムーズな流れを邪魔するだけでなく、膝が損傷する原因にもなっているわけです。
また、スタンスを広くすると球が遅くなる理論的根拠は他にもあります。

前足が着地位置と体の重心との関係を比較してみましょう。(下図)

投球比較1

綱引きを例に考えてみると分かりますが、重心より前に足があるほど後ろ向きの力が増加しますね。
折角、体を加速しても前足が着地した瞬間にそれを強く止めているのですから、ほとんど意味がありません。

(ダルビッシュ投手は一時期、前足を一旦大きく蹴り出して着地の直前に足を後ろに引き戻すことで上体を加速させていました。この方法なら有効です。)

さらに、骨盤・体幹の縦回転は 前足の股関節屈曲 によって起こるのですが、広いスタンスでは前足股関節の十分な可動域が残っていません。

今度はスタンスを広くしようとする以外に、先程の「後ろ足と骨盤の逆回転」が起こる原因を考えてみます。

悪い投球フォーム2

例えば、軸足(後足)の股関節の伸展可動域が小さく、これを股関節外旋外転で代償している場合です。

この場合、“軸足股関節の伸展可動域減少” という「根本原因」を改善しないままフォームだけを矯正しようとすると、投球動作前半に骨盤と体幹の前傾が強くなって、リリースポイントを維持するために腰や肩、肘の可動域を大きくしようとして故障の原因になります。(下図)

悪い投球フォーム1

このような投球フォームはプロ野球選手でも時々見かけますので、後ろ足の股関節の伸びと体幹の反りとの関係などを注意して観察してみて下さい。
いかがでしたか?
ボディメカニクスの理解が少し深まったでしょうか?
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